海のちかくに住む知人の家をひさしぶりにたずねた。
数年前、新興埋め立て地に比較的はやくにできた
その高層マンションからは、東京湾がひろびろと
見渡すことができた。
いまや、周辺にはさまざまなかたちの高層マンションが
色とりどりに立ちならび、わずかの海のいろも見ることはできなくなっていた。
ベランダから海が見えなくなったことはもちろん残念だけれど、
茫漠としていたまちには、人間があつまってできるあたたかさの
ようなものがあたりを満たしている。
こんなふうにまちができあがっていくさまを、
実際にそのまちに住みながら感じられるのは
格別な心持ちだろう。
マンションの谷間の、茜空をみながらそう思った。
yuki